愚考である事を認識してお読み下さいませ(苦笑)
個人向け専門誌の購入動機は「これが好き!」の度合いによると思っている。
数多くの超細分化された知られざる専門雑誌がそうであるように
好きで堪らない愛して止まない物に人はお金を使う事を厭わないので
専門雑誌の王道は「趣味/ホビー系である」という主張は昔からしているのだが、
PCやインターネットが急速に普及したIT分野の専門誌の分野においては、
PCが個人のホビー目的の物からオフィスに必須なインフラとなるにつれて、
「仕事に役立つPC活用」や「業務上のITスキルアップ」などのオフィス活用系、
「企業システム向け情報誌」や「分野別に細分化された技術活用誌」などの
「お仕事志向のIT専門誌」も情報量が限られているうちは支持されてきた。
しかし、Webメディアで「それなり」の品質の情報が即座に「無償」で手に入り、
それをWebに散らばる数多の情報で情報の質も補完する事が可能であり、
(散在する情報を自分の力で吟味し再編集する作業は必要になるが)
さらには、Webから自分の意に沿った情報を検索/抽出し欲求を満たす行為が日常となった為、
雑誌という他人の主観においてまとめられた情報パッケージ(編集物)との間に
「言及の浅さ」や「物足りなさ」といった「ズレ」が表面化してしまい、
編集者ひいては出版社に対する「満足度」「信頼感」が相対的に低下している事もある。
(同じ事はWebメディアにも言えるが不要情報を弾いてしまえば時間もお金も減らない)
(当事者には失礼な話ではあるが、無償ゆえに許されている部分は有るだろう)
なおかつ、ベタなフリーマガジンやコントロールド・サーキュレーションによる
「無償配布誌」も増加傾向にあり「情報を無料」で入手し消費する傾向はさらに顕著になった。
そういう状況下で読者個人がお小遣いで「これが好き!」という事でもない
「お仕事志向のIT専門誌」を購読したいだろうか?
法人購読比率の高い直販雑誌は記事構成も基本的に企業/法人向けであり、
個人の財布が傷まない会社経費での講読という事でここでは別枠とするけれど、
(休刊/統合を進めた結果、誌数的にも適当な棲み分けが出来つつあるし(例外アリ))
(特に数千部の業界紙/業界誌的な側面を強く持つ媒体は当面は大丈夫でしょう)
個人が「お仕事志向のIT専門誌」を買う時代は終わりつつあるように思える。
個人がどうしてもお仕事関連の資料を紙ベースで手元に持ちたいのであれば、
読みたい情報がしっかり一冊にまとめられている「書籍」を買うだろう。
ビジネス規模は縮小するが「書籍」ほど敷居が高くなく編集や広告面でも自由の利く
刊行ペースを落とした「特集主義ムック」で延命を図るのが常套手段となりそうだ。
一方、数少ない個人読者に頼るコンシューマ向けの趣味/ホビー系IT専門誌も
Webの爆発的な情報量と技術発展の鈍化に「好き!」の気持ちがさほど強くない中間層が
侵食されない筈は無く、止まらない部数低下と広告減少によって
四半世紀の間に組織が肥大したIT系専門出版社が耐え切れない事態になりつつあり、
中長期的には、やはり刊行ペースを落とした「特集主義ムック」に移行すると思う。(一つの編集部で二つの隔月誌か三つの季刊誌を作るとか。「技評メソッド」そのものだな)
(あるいは、もっと小規模なミニコミ・同人誌として生き延びるか......)
より広域の読者層と広範な広告クライアントを取り込むべく
少数のマニア向け路線からの脱却を図ろうと思っている所もあるが、
忠誠度の高い僅かに生き残ったマニア層の切り捨てによるサバイバルは、
専門出版社たるアイデンティティ喪失を招く結果が予想される。
(このままじゃメシは喰えないのは判るのですが......書店売りだと相当キツイと思う)
畢竟、法人購読メイン以外のIT専門誌は何処も彼処も相変わらず結構な危機にあります。
この秋に休刊する雑誌もあるでしょう。
一番の問題は広告ビジネスがまともに成り立たなくなってきた事ですね。
絞り込まれた特定のターゲット層に対して、視覚による刷り込みが行える雑誌広告は、
即効性があるものでは無いにしても一定のブランド定着効果がある事は明らかですが、
すべてに優先して予算を割くべき存在で無くなった事は認めざるを得ません。
広告効果測定の課題に現在も有効な手を打てていない事は怠惰と言われても仕方無し。
広告企画の運用もマンネリ化し、広告掲載特典として出せる読者リストも疲弊した。
最早、数人規模の新興専門出版社(専門Webメディア会社)から出直す時期なのか。
※そして、いずれはIT専門誌に限らず無償情報量の増大による影響は専門誌全般に及ぶ......
雑誌からWebメディアへの重心移動も加速する一方ですが、
規模の小さい専門Webメディアでは自ずとビジネス規模も小規模な物に留まる為、
(専門誌と連動する雑誌Webサイトが大きくならない要因も雑誌の枠組みに縛られる事に有る)
(そして、有償専門誌のWebサイトは読者に限定しない無償情報提供を始めると自壊しかねない)
記事クオリティの維持/向上のため自転車操業で人的/資金的リソース投入を延々と続けながら
Webサイト規模を拡大/増殖して行かなければビジネスも拡大できない宿命を抱えるWebメディア事業に
現時点でそれなりのコストと人を抱える専門出版社が、今から後発で突撃する事は
一般誌で勝負するよりもさらに困難な事にも思えます。
と、ここまでウダウダと述べてしまいましたけれど、
(アスキーとかバンクを批判しているつもりは無い.........結局、何処も商売だしね)
ネット全盛の世の中でも紙媒体にしかできない物はある筈なので、
「専門雑誌」自体の可能性が無くなった訳ではありません。それは確かな事です。
インターネットが未来永劫使える保証は何処にも無いとの同じでね。
★お断り★
まず、全部読んだ人は相当エライ!
長文でかなり読み難い、このグダグダでダラダラな文章は、
長年、IT専門誌の広告業務を生業としてきた自分の複雑な心境そのまま。
雑誌好きとしては助けたくとも、広告屋としては勧められない物もある。
広告屋としてはクライアントが喜ぶ事が、やはり一番ウレシイのでして。
(既に弊社でも雑誌広告よりネット広告の売上高の方が多いです)
諸行無常......浅墓な愚考が思い切り外れると良いのですけど。
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