情報伝達メディアとしての雑誌とWebは相互補完関係にある。
という事はかなり前から言われている事ではあったが、
それぞれの特長(雑誌の一覧性、Webの速報性/双方向性)を生かした形での
具体的な展開事例というのは、なかなか出てこなかった。
出版社の腰の重さや文化の違いなど障害は多くあったと思うが、
ここに来て「フリーマガジン」と「QRコード(携帯電話)」を梃子に
面白い物が出てきたような気がする。
10/5に発表会が行われた「ポノポノコミュニケーションズ(※9/29既報参照)」の
フリーマガジン「花日和 Petit」は書店レジで30代女性を中心とした層に配布される。
配布部数20万部。首都圏書店6割。次号は1月、以下、月刊発行。
(書店配布ルート開拓には取次ぎの日本出版販売株式会社=日販が協力している)
店頭レジでの手渡しという配布チャネルは、BCNの「 BCNランキング」も実施しているが、
20万部という部数を配布対象の性別や年齢層を絞った形で配布した例は珍しい。
「花日和 Petit」の誌面内容が読者ターゲットを絞っているから、当然の事なのだが、
この先例は全国展開の専門「フリーマガジン」の発行がコントロールド・サーキュレーションではなく、
店頭配布でも可能である事を示すように思う。
さらに「花日和 Petit」には「プチCODE」と呼ばれる小さくてカラフルな「QRコード」が
編集コンテンツ内にも大量に組み込まれており、デザイン的にも無理の無い形で、
雑誌誌面と携帯Webサイトの連携が取られている。
勿論、広告ページにも「プチCODE」は載せられるから、
広告効果測定を含む、マーケティング面での活用も可能となっているのだった。
しかし、これを「花日和 Petit」だけの、
しかも個別の広告クライアント単位で享受できるギミックにしておくのは、
低迷の続く雑誌業界としては非常に勿体無い話だ。
携帯Webサイトを経由するとはいえ、
そこから読者に対して行えるアクションは多岐に亘るので、無償、有償に関係なく、
雑誌読者に対する各種サービス提供とレスポンス取得が実施できるのだから、
出版社側が一元的に管理する形式での広告効果指標作りにも転用が可能な筈だ。
最初から業界標準とする事は無理でも、
まずは、この会社に資本参加をしているBP社が自社発行雑誌の中で実験をして欲しい。
その前段階として、Webサイト(つまり画面上)での「QRコード」の有効活用というステップが有ったり、
専門Webサイトと連動するターゲットを絞った冊子の配布(無償/有償?)というステップが
必要とされるのかもしれないが(携帯向けWebサイトも作らないとイカンか)、
とにかく、専門雑誌とWebの融合と共生の形が具体的に見えたような気がするのであった。
雑誌は無くならない。それは確信としてある。
ブログ的走り書きで失礼。