以下は仮定の「お話」である。しかも、専門雑誌に固執している人間が書く物である。
ITmediaと@ITの合併は、それなりのインパクトをIT業界に与えたが、
新会社でのビジネス構想は当り障りの無い物で急激な進展は期待できないと思っている。
「@IT」は、元々「雑誌では出来なかった事」を実現する為に創設された会社だ。
そう、あの「 SUPER ASCII 」では出来なかった事を。
具体的には「誌面が足らずに掘り下げられなかったコンテンツ」や
「時間の都合で扱えなかったコンテンツ」、「マニアック過ぎて扱えなかったコンテンツ」等を
Webという事実上、スペースに制限が無く、
加筆/訂正/拡張/増殖が、逐次、可能なフィールドで高品質に展開させる事を指していた訳だが、
【それを無料で提供する事が当初の目的であった訳ではなかった】筈なのだ。
今、ここで「@IT」が、跡形も無く完全に消滅したならば、
「@IT」に集っていたユニーク・ユーザは、専門雑誌に戻ってくれるだろうか?
一定の信頼性/信憑性のあったWebサイトを失った読者は
あらゆる情報の混在するWebサイトを回遊し、自ら真偽を選別する手間よりも、
再び、専門雑誌をお金を支払って買う事を選択してくれるだろうか?......
現時点では「かつては雑誌で出来なかった事」を「雑誌をやりながらできる環境」が、
やっと、整いつつあると思っている。
そう考えた時、オンライン専業メディアは、有るべき物を欠いたメディアに映る。
Webだけではなく、雑誌と有機的に結合した形の様々なサービス(読者イベント含む)を
今ならば、雑誌読者という【お金を支払ってくれる真のユーザ】に対してのみ提供する事ができる筈だ。
広告収益や周辺事業で、掻き集めたお金をWebコンテンツ制作に投下しても、
その優れたWebコンテンツ自体でお金を貰う事が出来ないなんて、やっぱり、オカシイ。
課金が難しいならば、まずは既にお金を支払ってくれている雑誌読者にのみ提供するべきだ。
「コンテンツに対してお金を支払わないなら、それはお客ではない」。
それが、かつては普通だった。読者には媒体を支えているという強い自負も有った。
PV拡大やUU獲得を目的に、すべて「無料」で提供してきた事が作り手としては間違いだったならば、
全部、木っ端微塵にブッ飛ばして、初めからやり直したって何も良いのではないだろうか?
雑誌媒体でも盛んに実施されている「個人情報」と引き換えの「無料セミナー」なども
「雑誌読者限定」の代価を求めない本当のサービスにしてしまっても良いでしょう。
コミュニティ受けが良い、スポンサー収益で賄われているイベントも、
きちんとイベント参加者も有料、参加コミュニティも費用負担有りにしましょう。
無料コンテンツやサービスは何処まで行っても「無料」でしかないと思います。
価値の有る物には「お金を支払う」。無価値なら買わなければ良いだけですから。
うーむ......何が書きたかったんだったか......。
つまり、「@IT」は、一度、試しに無くなってみるのが、
「@IT」自身にとっても良いかもしれないよ、という事かしらん......。
これだけのビジネス規模となった物を壊す事は難しいでしょうが。
初めからWeb単独で有料というのも無理だしねぇ。
判り難いので、スミマセン。