「 e・Gov 」と「 COMPUTER WORLD 」の創刊説明会が開催されました。
IDG 米国本社 CEO である Pat Kenealy 氏も駆けつけての発表会。
気合が入っていると思って良いのでしょうね。
◆電子自治体情報誌「 e・Gov 」(10/15創刊、月刊、15日発行)。
7月に全国の自治体に配付した創刊準備号で行なったアンケートの結果は
地方自治体のIT化の遅れ/地域格差を如実に表しており、非常に興味深い物でした。
そんな中、「自治体の情報化が豊かな地域社会の一助に」を方針として創刊する「e・Gov」。
一民間の媒体社がビジネスとして作る専門月刊誌のインパクトは小さくは無いと思います。
今回の説明会で明らかになったポイントを掻い摘んで説明すると、
・自治体の首長および情報政策決定者に向けて無償配布。
アンケートの結果、情報統括責任者(CIO)がいない自治体が6割以上であり(専任担当者がいるのは 4% )、
兼任担当者がいる場合も、その多くが市長などの首長や助役クラスという事で、
まずは、確実に読んでいただく事を目的にした配付戦略を行なう。
(送付の同意を得た上で、配付者本人の名前が入った宛先で確実に配付)
・地域に密着したITベンダー(中小SIer)のコミュニティ「e・Gov 3000社倶楽部」創設
「 e・Gov 」を軸にそれぞれの地域で活動するITベンダー(中小SIer)を組織化し、
地域内での経済還流/底上げを目標に、誌面/イベント等を通してスキルアップ、情報交換を支援。
当然、これらのコミュニティ会員にも「 e・Gov 」は配付される。
・豊富な製品情報/事例を提供
自治体向け製品/サービスばかりではなく、
一般向け製品/サービスを自治体が利用した場合を想定した記事を提供。
IDGグループが発行するカナダ、オーストラリアの電子自治体向け媒体からの翻訳記事も有る。
「 e・Gov 」については、過去にも数回取上げておりますのでこれ位で。
総務省の支援も取り付けられた様子ですし、編集長も意気軒昂という感じでした。
◆テクノロジー・リーダーのためのコンピューティング情報誌
「 COMPUTER WORLD 」(11/18創刊、月刊、18日発売)
それぞれの専門技術だけでは理解できない、各々の技術の関係性を踏まえて
細分化され、複雑になりすぎたIT各分野を網羅的に扱う総合技術情報誌。
多種多様な技術/技術者を統合/管理/統括するテクノロジー・リーダーに向けて創刊。
IDGジャパンの考えでは、同社が発行している各技術系専門誌と、
ITビジネス誌である「CIO Magazine(+e・Gov)」の間に位置する事になります。
「テクノロジーの本質を見極める」為の「 IT総合誌」という感じですね。
「情報誌」という事で独自の主張は控えめに、良質の情報源を目指す模様です。
(日経コンピュータ競合というよりは、今後の日経バイト競合? 読まないと判りませんけどね)
(ちなみに創刊号の編集特集予定は「グリッド」と「自律テクノロジー」です)
これで世界中で発行されている「 COMPUTER WORLD 」は47誌になったそうで、
当然、これら各国の「 COMPUTER WORLD 」からの翻訳記事も誌面に取り入れられます。
また、最新ニュースを発信するWebサイト「Computerworld.jp」も立ち上げる。
今回の「 COMPUTER WORLD 」創刊にあたって、特筆すべきなのは
「テクノロジー・リサーチ」と呼称される広告主向けサービスが実施される事です。
「テクノロジー・リサーチ(略して TR )」は、「定期購読者」と「IDGが選抜したモニタ読者」で構成する
「リーダーズ・コミュニティ」に対して毎月 Webサイトで実施するアンケートの調査結果および
アンケート結果をITアナリストが分析したリポートを広告主に提供するサービスです。
広告掲載企業は追加料金を支払う事無く、有益なマーケティング・データをもらえます。
(設問設定と分析、レポート作成には、CIO Magazine等でお馴染みの「ITR」が企画協力)
アンケート実施内容および設問は事前に公開されますし、広告主がオプションとして独自の設問を追加する事も可能です(これは有償)。
モニター読者の選抜やアンケート参加率を高水準に保つ為の方策など
非常に良く考えられている仕組みだと思います(販売施策ともリンクしているし)。
(ここで全部、説明していると大変なのでIDGに問合せして下され)
各媒体社で読者および読者情報を利用した有料サービスは行なわれていますが、
ここまで煮詰められた物を広告クライアントに標準のサービスとして提供するのは始めてでしょう。
データの有益性を保つには母集団である「リーダーズ・コミュニティ」が、
常に高感度であり、広範なジャンルに興味を持っている存在である必要が有ります。
その基盤雑誌として「 COMPUTER WORLD 」は高適性だと思います。
(モニター読者という保険が掛かっていますけれどね)
広告主向けサービスとして「資料請求サービス」という物がありますけれど、
これは「広告」に対する「反響(レスポンス)」を計測するツールでした。
インターネットで情報入手可能な現在は、ほぼ完全に廃れてしまったサービスです。
実売部数が公開されていない「雑誌の広告効果」を算出する為の手法は、
未だスタンダードな物が存在せず、誰もが苦心惨憺している状況であり、
それがひいては「媒体価値の低下」をも惹起してしまっています。
それはそれで業界として考えて行かなければいけない大・大・大・大問題ですが、
(特に専門誌の場合、単純に「部数の多さ=効果大」とは言いませんが、不明瞭なのは信義に悖るし)
今回の「高い水準にある読者コミュニティ」を利用した「調査サービス」の提供開始は
専門雑誌は「マーケティングツールとして使える」という新しいベクトルの媒体価値の
確立に明確で恒常的な見通しを付けたように感じます。
IDG ジャパンと企画立案者には申し訳無いですが、他誌もドンドン追随して欲しいです。
(本当に良く練りこみました!! エライ!! 今度、ホッピー奢ります!!)