12月売で休刊する「日経IT21」と「日経ネットビジネス」。それぞれの休刊を独立した事柄ではなく、互いにリンクした物、つまり、2つの雑誌の統合の過程と考えてみるとそれなりに納得が行く。中小企業のIT化支援を掲げ、巨大な中小企業市場を狙った「日経IT21」の路線は間違っていたとは思えず、BP社としても、その市場は簡単に諦めて良い物ではない。一方、EC 関連の話題/情報を扱ってきた「日経ネットビジネス」が、EC の枠を越えてあらゆるネットビジネスの上流層を扱うべくリニューアルを行ったのも、インターネットを抜きにビジネスを企画する事が困難となった現状に合った物だ。
「IT化のメリット」を現実主義的で計算高い「中小企業のマネジメント層」に説くには、「理解しやすい結果が出るIT 化」を以ってするのが、得策だろう。従って、有望な市場である「中小企業のマネジメント層」を読者に取り込む為には、社内システムの効率化や合理化など「無駄を省く IT 化」の提案/支援ではなく、「商売としての儲けを推し量り易い = お金が儲かりそうな IT 化」を企画段階も含めて、具体的に提案/支援する事に重点を置いた媒体開発が必要となる筈。
そこまで、考えてみると「日経ネットビジネス」の突然の休刊決定は「日経IT21」の後継誌として中小企業市場の攻め手となる新雑誌を開発する中で考えられたコンセプトに「日経ネットビジネス」の扱う領域が被ってしまう為に、急遽、休刊の決定が下ったと想像する事も出来る。
アスキー「インターネットでお店やろうよ!」最終号の好調が示すように、小規模/中規模事業者のインターネットを利用したビジネス展開は発展途上で少なくない潜在読者が眠っている事は明らかである。日経BP社が得意の直販展開によって、エフエックスが想像したような切り口の新雑誌でその市場を浚うとすれば、期待して良いと思う。
※新雑誌の存在および開発の事実は現時点で把握しておりません。あくまで推量/推測とお考え下さい。(大ハズレかも)